
Saito Shigeru
書いた人の都合
思春期になると悩みの量も質も変わってくる。 書物はその悩みに寄り添ってくれる数少ないツールだ。 書物はカウンセラーではないから、ストレートに悩みを受け止めてはくれない。そもそも書物は私のために書かれたものではない。だから、私の求めていることを微妙に外しながら書かれていたりする。だから、イライラもする。 そこが良い。 書いた人の都合で世に出た書物。 でも、それがなぜか掛け替えのない一冊になることもある。 思春期になると多忙になり、ゆっくり書物と向き合える時間が激減する。 余りにも残念なことだ。 ある時間に何かをやれば、その時間にできたであろう外のことを捨てている。 限られた時間。 時間というものに自覚的でいたいものだ。